アカデミーの前にはほんとは、作品賞はみておきたいです。なかなか日本ではそれができずに残念。
なので、これはがんばってみなくちゃと、行ってきました。ほぼ満席。すごいです。
「
ミリオンダラーベイビー」脚本のポール・ハギスが監督。
・・・それだけでいかばかりか?と心配しましたが、案の定やられました。
前作についで、重い思いが残ってしまいました。
ロスのある36時間の話。
一台の車のクラッシュ事件。その前後の36時間。
多くの人々が絡み合っていきます。
黒人の刑事。メキシコ女といわれる南米の女刑事。
中国人の女。中国人の男。
黒人のTVプロデューサーとその妻。
差別主義の警官とまだ正義を持っていると信じる若い警官。
アラブ人と間違えられるペルシャ人の小間物屋の主人。
その娘。
地方検事とその妻。
こそ泥の二人組みの黒人。
アフリカ人の保険会社主任。
娘を愛する鍵屋。
これらの人々が、さまざまな因縁でぶつかっていきます。
脚本がほんとに優れているので、無理なくわかりやすく絡んでいます。
これは「人種差別」が核になっているので、また難しい問題を渡されてしまった感じです。
細かく書くと(書けないけど。複雑だから)内容が洩れるので避けます。
ロスアンジェルスの白人の割合が5割に届かなくっているそうです。
それほど多くの人々が集中してきてるのですね。
今年に入ってからの映画で、「民族」の問題を結構考えてます。
同じ民族の争い、違う民族の終わりのない戦い。
アメリカでの「人種」も「意識」の問題です。変えていくのにはまだ何十年もかかるでしょう。
いや、人間が「差別」をしない日が来るのでしょうか?
この映画のところどころには救われるところもちりばめられてはいます。
でも、私が感じたのはもっと終わりの無い、人間の違うものへの拒絶、でした。
「ミュンヘン」にしても「クラッシュ」にしても世界はこうなってる。で、観てるあなたはどうするつもり?と聞かれている気がしてなりません。
人間も捨てたもんじゃないよ、っていう時代はいまは違うのでしょうね。
少なくとも目を開け!といわれる言葉は心からうけとりたいと思います。
作品賞・監督賞のノミネートわかる気もします。
でもとれるかなあ。問題与えすぎじゃない?
マット・ディロンが助演でノミネートされてます。
そりゃ彼も悲しくてよかったけどね。でもなぜドン・チードルじゃだめなの?
まあ、でも遅かれ早かれ大きく評価されるから、いいか。
いずれにしてもきつい映画でした。
最近、いや世の中、こういう真髄映画が多くって見るほうも心を使っちゃって大変です。
でも自分の中の「偏見」や「差別」を見つめなおしてみるためにもみるべきだと思いました。
追記:
これを観て帰ったら、哀しい事件が起きていました。
子供の悲惨さと同時に、日本で必死に生きて日本の社会でがんばって生きている中国の方々に思いをはせました。別の事件でのペルーの人々は大変だったそうです。
人種じゃなくて考えていけたらいいのにと思います。
胸がふさがります。