暖かい。
温かい。
・・・それを感じることって自然と涙が出るんだなと思いました。
久々にボロボロ泣いてしまいました。
白状すれば、監督も鈴木オートの夫婦(薬師丸ひろ子も堤真一)もみな同じ世代。
昭和33年は知らなくても、その残り香を感じている世代。
やさしさをいろんな大人に教えてもらっていた世代ともいえるかもしれません。
もちろん、この映画とぴったり合った方には応えられない思いがあるでしょう。
まだ、東京タワーが建設中の昭和33年。
青森から集団就職で東京にやってきた六子(=むつこ通称ロクちゃん)(掘北真希)は、自動車工場の鈴木オート(堤真一・薬師丸ひろ子)の元で働くことになります。
鈴木オートのある夕日丘ではいろんな暮らしがあります。
そのひとり、作家の茶川(吉岡秀隆)はなかなか大成せず、小さな駄菓子屋をやりながら細々と書いています。そんな彼の元に突然預けられる淳之介という少年。
ひろみ(小雪)という小料理屋の女性に託されるのです。
ロクちゃんと鈴木オート一家。
淳之介と茶川とひろみ。
この2組のあたたかな関係が、周りの人々と共に語られていくのです。。。
とにかく、出演者たちがとても良いです。
昔のお父さんはきっとコウだったろうと思わせる鈴木オートの堤真一。
昔のお母さんはこの包容力があっただろうと思わせる薬師丸ひろ子。
戦争の被害者であり、あたたかい医師の三浦友和。
非常にいきのよいタバコやのおばちゃんのもたいまさこ。
文学青年が変化していく吉岡秀隆。(彼はうまいですねえ。やられました)
そして、なによりすばらしいのはロクちゃんの堀北真希と、子役の二人。
どうして、ぜんぜん知らない世界なのにあんなに素直に表現できるんだろう。
感受性の豊かさだとはおもうけれども、きっと監督の演出の力がにじみ出ていると思う。
戦後かなりたって、日本がどんどん上向きなときに生まれた私たちは、戦争もロシア文学もあまり知らない。わかっていない。
でも、この時代の温かさはどこか覚えているようです。
決して豊かじゃないから、一生懸命働いて、テレビや冷蔵庫を買って喜んでいた親の姿をどこか覚えているようです。
誰もが、閑じゃなかった時代。ゆったりしていてもすることがたくさんあった時代。
その時代への郷愁を呼び起こしてくれる映画でした。
ぜひぜひどんな人にも観てもらいたい映画です。
家族とでも、恋人とでも。
温かいのは幸せですね。
★追記
11月16日に20000HIT達成いたしました。1万から2ヶ月でした。
ありがとうございました。またがんばります!