ホテル・ルワンダと同様に物悲しい音楽がいつまでも心に残る。リズムにのった明るい音楽でさえもこのような映画では哀しく残ってしまうのでした。
英国外交官のジャスティン(レイフ・ファインズ)の妻テッサ(レイチェル・ワイズ)がナイロビの北ロキで惨殺される。ジャスティンはその死に衝撃をうけつつ、彼女の愛を信じてその死の真実を探り始める。するとあきらかになってくる陰謀...
とサスペンスな映画なつくりではあります。
製薬会社の陰謀と妻の死の関係。
疑惑を感じ始めたジャスティンの行動で明らかになる妻の使命。
出会いからイラク戦争への批判をぶつけてきたテッサ。
「革命」に生きてきたそのテッサを愛し、ナイロビにつれてきて失ってしまうジャスティン。
ジャスティンを愛し、地球の人々を愛するが上に死んでしまうテッサ。
大きな波の中で失われていくアフリカの命。
アフリカという国に対する気持ちを「
ホテル・ルワンダ」でもいろいろもったわけですが、「命が安い」と言い放たれてしまう国。もみ消されたり、「ぜんぶを救うことはできない」という理由で手が伸べられない現実。
ルワンダもケニアも深く大きな闇を抱えていて、それをなんとかして救おうとするテッサの意志を理解していくジャスティンの姿は心を打ちました。
ただ静かに庭いじりをしていくのが好きだったジャスティンは、妻の激しい行動を心配しつつ見守るだけだったことをどれだけ、悔恨したことだろうと思います。
映画途中は、サスペンスの展開に見入ってしまい涙は出なかったのですが、「ホテルルワンダ」と同様、エンディングの音楽中にポロポロしてしまいました。
どうしようもない哀しみが心に残っています。
レイフ・ファインズ。実は一番好きな俳優さんなのでした。
あの薄いくちびると、優等生風の面立ちがまさに好みです。(弟はワイルドすぎてうけつけないんですけど)
「イングリッシュ・ペイシェント」も大自然の中での悲恋がすごくよかったです。
不器用な男→熱烈な恋→そして終わり
これが一番似合う哀しい演技のできる人なんですね。
レイチェル・ワイズの哀しい美しい笑顔としっくり。
(24歳には無理がある気がしたけど)
私としては、「人としての愛」「人類愛」が交差して哀しさが倍増してしまいました。
とてもよい映画です。社会的ですし、大切なメッセージもありますが、「愛」の映画でした。